脂質異常症

はつらつニュース

脂質異常症

HATSURATSU NEWS

脂質異常症は動脈硬化を促し、狭心症や心筋梗塞などの大きな原因になります。

原因

[ 原因による分類 ]

脂質異常症とは、血液中に血清脂質―特にコレステロール(以下CHOに省略)、中性脂肪―が多い状態を言います。本来、CHOや中性脂肪は生命活動に必要なも ので、多過ぎず少な過ぎず一定のバランスが保たれていなければなりません。ところが加齢や肥満、他の疾患によってこの調節がうまくいかず、バランスが崩れ 一定値以上の状態が続くと動脈硬化を促進することになり、自覚症状の無いまま進行し、やがては脳卒中や狭心症、心筋梗塞などを引き起こす原因になるので す。

■ コレステロール

 

食事からの摂取量は平均すると1日に約300mg、肝臓で合成される量は1.5~2gと言われます。血液中のCHOは、その組成や比重により数種類に分けられますが代表的なのが、LDL―CHOとHDL―CHOです。(以下LDL、HDLに省略)

 

LDL

低比重。肝臓で合成されたCHOを全身の組織に運ぶ働きをし、多過ぎると動脈硬化の原因になるので悪玉CHOと言われる。

LDL値=(総CHO)―(HDL)―(中性脂肪×1/5)

(ただし、中性脂肪が150以上でこの式は当てはまらない) LDL値が170以上で、薬物治療の対象となります。

 

HDL

高比重。血管壁などの余分なCHOを肝臓に戻す働きをし善玉CHOと言われる。HDLが総CHOの20%以下にならないことが望ましい。日本人の心筋梗塞例では低HDL例が多いと言われています。

 

LDLとHDLのバランスが崩れ、LDLが過剰になると動脈硬化は進みます。

女性ホルモンには、LDLの増加を抑え、HDLを増やす働きがあります。そのため女性は10~40代は動脈硬化の心配は少ないのですが、閉経後動脈硬化が進行しやすくなります。

 

■ 中性脂肪

中性脂肪は分解されて筋肉を動かすエネルギーになります。使用されなかった中性脂肪は皮下脂肪として貯えられるので、肥満の原因となり動脈硬化を促すことになります。

植物や魚の脂肪には、EPA(エイコサペンタエン酸)やDHA(ドコサヘキサエン酸)が含まれ、体内での中性脂肪の合成を抑え、血栓を出来にくくします。体に良いと言われている植物油も取り過ぎると、LDLと共にHDLも減少させてしまうので注意が必要です。

治療

植物性脂肪や新鮮な魚の脂肪を多く、動物性脂肪を控えめに

日本人の平均コレステロール値は、食生活が欧米化してきたこともあり、年々上昇しています。

(1)    一時性(原発性)脂質異常症

疾患や薬剤の影響がなく、個体の素因に基づく異常によって発症すると考えられる脂質異常症。その中で特に家族歴など遺伝的背景の確かなものを家族性脂質異常症と呼ぶ。

 

(2)  二次性(続発性)脂質異常症

脂質代謝異常をきたす疾患や薬剤、飲酒、ストレスに起因する脂質異常症。

[ 原因による分類 ]

総CHO

130~220

中性脂肪

40~150

LDL―CHO

140以下

HDL―CHO

40~60単位mg/dl

[ 日常生活での注意点 ]

適度な運動を続ける。HDLが増え、中性脂肪が下がります。禁煙する。喫煙は、HDLを低下させ、血圧を上げます。ストレスを避け、睡眠を十分とる。ストレスは血液中のCHOを増やし血圧を上げます。お酒はほどほどに。飲み過ぎると中性脂肪を増やします。

[ 食事療法 ]

1日摂取エネルギー量は、栄養バランスを崩さずに、男性で1800~2200kcal、女性で1600~2000kcal程度にします。

食べ過ぎは禁物

野菜、果物には食物繊維が多く含まれ、CHOの排泄を促進します。

食物繊維は多めに

糖質の摂り過ぎは中性脂肪を増やし、肥満の原因となり、HDLを低下させます。

いものの摂り過ぎに注意

生活改善を続けても値が下がらない場合には、薬を用いることもあります。肝臓でのCHOの合成を抑制したり、腸でのCHOの吸収を阻害する効果により、効率的に下げることができます。

CHOを多く含む食品は控えめに

 

将来、心筋梗塞などの重い疾患を招く危険を避けるためにも、CHOや中性脂肪の値は、若い時から早めにコントロールし、きちんと対処しておくことが大切です。