滲出性中耳炎
HATSURATSU NEWS
子供がかかりやすい中耳炎。繰り返しかかると鼓膜に穴が開くこともあり、早期の治療が要求されます。
中耳炎は、鼓膜の内側にある中耳の粘膜に、細菌などが侵入して炎症が起きる病気です。
子供に多く見られ、それは、
◉ 子供の耳管(耳とのどをつなぐ管)が、大人に比べて太く短く、水平に近いため、
鼻やのどに入った細菌が中耳に入りやすい
◉ アデノイド(咽頭扁桃)が大人より発達しているため、耳管がふさがれやすく、
中耳の換気が悪くなり、細菌が繁殖しやすい
などの理由によります。
滲出性中耳炎は、中耳内に、炎症によって粘膜組織からにじみ出てきた液(滲出液)がたまる病気です。急性中耳炎(中耳の粘膜に細菌が感染して炎症が起こり、 鼓膜が腫れて強い痛みがある)に引き続いて起こりやすく、痛みはあまりありませんが、聞こえが悪くなることが発見の目安になります。学校の聴力検査や、 「呼んでも返事をしない、よく聞き返す、テレビの音を大きくする、テレビに近づいて見る」などの様子で異常に気付くことが多いようです。
原因
(1)
(2)
(3)
風邪などによる、上気道炎(喉などの炎症)がきっかけになり、中耳腔にも細菌感染と炎症が起こります。
アデノイドが肥大して、耳管の出口をふさいだとき。
慢性副鼻腔炎やアレルギー性鼻炎があると、鼻汁が耳管の出口にたまったり、耳管の粘膜も腫れるので、耳管の通気機能が悪くなります。
また、中には原因がはっきりしない滲出性中耳炎もあります。
治療
(1)
(2)
(3)
副鼻腔炎やアレルギー性鼻炎があれば、それに対する処置や薬物治療を行います。例えば、鼻の洗浄や、中耳腔に空気を送る通気治療を行ったり、抗アレルギー剤や抗ヒスタミン剤などで炎症を抑え、滲出液に細菌がいる場合は、抗生物質を内服します。アデノイドの肥大に対しては切除手術も考えられます。
1の処置で改善が見られないときは、鼓膜を切開して滲出液を吸い出します。
上記、1、2の処置を続けて1年以上たっても良くならないときには、鼓膜に穴を開けて、換気チューブを挿入し、中耳腔を乾燥させる方法があります。換気チューブを通じて空気が中耳腔に入り、滲出液は外へ流れ出ます。
日常生活の注意
◉ 滲出性中耳炎は難聴の原因になり、難治化や後遺症を生じることがあるため、定期的に診察を受けることが大切です。また、7才までは再発することも多く、完治したからといって安心せず、治療後も耳鼻科の検査を受けるようにして下さい。
◉ 鼻汁が喉に落ちると、細菌が耳管に入りやすくなるので鼻汁はすすらず、日頃から鼻をかむ習慣を身に付けさせて下さい。
◉ 換気チューブは6ヶ月から長い時で2~3年装着するときがありますが、耳栓をすれば水泳もできることが多いので、医師の指示に従うようにして下さい。
◉ 滲出性中耳炎は発見しにくい症状のため、子供の耳の異常がないか、普段から子供の様子や態度をよく観察して下さい。
◉ 風邪の予防に心がけて下さい。
10 才を過ぎると耳管も成長して、喉や鼻からの影響も少なくなり、滲出性中耳炎の多くは年齢とともに良くなります。しかし慢性化すると、鼓膜が内側に落ち込ん で癒着したり、鼓膜が薄くなったりします。その結果、癒着性中耳炎や、鼓膜の奥に白い塊ができる真珠腫性中耳炎になることもあります。
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