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HATSURATSU NEWS

ウィルス性肝炎

肝臓病と言うと、アルコールの摂り過ぎが原因と思われがちです。しかし、実際にアルコールが原因である肝臓病は、その一部に過ぎず、日本での肝臓病の主な原因は、肝炎ウィルスです。ウィルス性肝炎とは、ウィルスに感染することによって肝臓に炎症が起こる病気です。肝炎ウィルスには、A型、B型、C型、D型、E型などがあります。日本に多いのはA型、B型、C型の3種類で、D型やE型は殆ど見られません。

A 型肝炎

A 型肝炎ウィルスに汚染されたもの(生かき貝が多い)や生水が感染源になり、海外旅行で衛生状態の悪い所へ行く時には、注意が必要です。感染すると2~4週 間の潜伏期間の後、「急性肝炎」を発症します。症状は、最初、発熱や吐き気、倦怠感など風邪に良く似ていますが、やがて「黄疸」が現われます。昏睡状態な どの激しい症状を伴う「劇症肝炎」になることはごくまれです。普通は1~2ヶ月で完治します。一度かかると抗体が出来るので再発しません。

B型

B型肝炎ウィルスは輸血、母子感染、性行為などにより血液を介して感染します。成人が感染した場合は、1~3ヶ月の潜伏期間の後、急性肝炎を発症する時と無症状のまま治癒する場合があります。どちらにしても抗体が出来てウィルスを排除するため、体力が極端に衰えて免疫力が低下している人などでごく少数の例外を除いて慢性肝炎になることはありません。問題は、時に劇症肝炎になることと、母子感染です。

 

  劇症肝炎

肝細胞が広範囲にわたり急激に破壊される肝炎で命にかかわることが多く、急性肝炎の1~2%に起こります。

 

  母子感染

B型肝炎ウィルスを持っている母親が出産する時、子供にウィルスが感染します。3才以前では、免疫の仕組みが不完全なためウィルスを排除出来ず、母子感染するとウィルスを持ち続ける「キャリア」になります。

現在、キャリアの母親から生まれた赤ちゃんにはワクチン接種が無料で行われ、母子感染は激減しました。

キャリアの人が成人して免疫力が高まると、ウィルスを排除しようとして肝炎が起こります。約9割の人は、ウィルスを完全には排除出来ませんが、肝炎は治ります。が、残り1割の人は慢性肝炎へ進み、肝硬変を経て肝臓がんになる恐れがあります。

C型

C 型肝炎ウィルスも血液を介して、輸血、入れ墨、覚醒剤注射などで感染しますが、約半分は原因不明です。B型よりも感染力は弱く、母子感染は殆どありませ ん。感染後、多くは急性肝炎を起こしますが症状は軽いため見過ごすことが多く、約7割の人は慢性肝炎へ進行します。C型の慢性肝炎は長い間に肝硬変、肝臓 がんへと進む恐れがあります。

検査

■  肝機能検査―ALT,ASTの測定

GOT、GPTは肝臓中にある酵素で肝細胞が破壊されると血液中に流れ出ます。正常値はGOTが10~34単位、GPTが5~46単位ですが、肝炎ウィルスに感染すると数百から数千単位になることもあります。

■  肝炎ウィルス検査

血液中のウィルスの抗原、抗体の有無を調べると、ウィルス感染の有無や肝炎の状態がわかります。

■  血小板検査

C型肝炎では、血小板数の減少によって病態が推測出来ます。

治療

急性肝炎では、安静が大切で、特別な治療は必要ありませんが、劇症肝炎に移行することを考えて入院治療します。

慢性肝炎は、ウィルスが増減を繰り返しながら肝細胞に住みつき、何年も肝炎が続く状態で次のような治療法があります。

■  ウィルスの増殖を抑える

インターフェロンを注射し、ウィルスの増殖を抑える。リバビリン、ラミブジンといった抗ウイルス効果のある薬剤を内服します。しかし、インフルエンザ様症状、下痢、発疹、抑うつ、脱毛、甲状腺機能異常、肺炎、不整脈などの副作用が現れることがあるので、定期的な検査が必要です。

■  肝炎を鎮静化させる

グリチルリチン製剤やウルソデオキシコール酸、肝炎に効果のある漢方薬で肝細胞の破壊を防ぎ、肝炎を抑える。

現在は、輸血用血液はウィルスの有無を厳しくチェックしていますので輸血による感染はまずありません。また、B型やC型の肝炎ウィルスは、かみそりや爪切りなど血液が付着する可能性のあるものの共用はさける、他人が出血した時血液には触らないなどに注意して普通に生活する限り、食事や入浴などを含む日常生活から感染することは殆どありません。

A型、B型はワクチンによって予防できますが、C型はワクチンがまだ開発されていません。C型肝炎であることが分かったら、定期的に検診を受け、治療を続けて症状の進行を遅らせることが大切です。