中央薬局

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食中毒

何らかの有毒、有害物質が食品の中に入っていて、それを飲み食いした人が急性胃腸炎などの急性障害を起こした場合のことを、食中毒と言い、食中毒は、大きく3つに分けられます。

 

  1. 微生物が食品中に混入して起こる細菌性食中毒
  2. フグや毒キノコなどの動物性及び植物性の自然毒による食中毒
  3. メタノール、ヒ素、シアン化合物などの化学物質による食中毒

 

今回は、夏場に多い細菌性食中毒を取り上げます。食中毒原因菌は30~37℃で最も良く増殖するため、暑い季節に細菌性食中毒は多発します。

分類

感染侵入型

食品中で細菌が繁殖し、食品とともに摂取され、腸管に定着後さらに増殖して腸炎を起こす。[サルモネラ、カンピロバクターなど]

感染毒素型

食品中で増殖した細菌が腸管内に定着し、増殖する際に毒素を発生し、その毒素(エンテロトキシン)の作用により腸炎を起こす。[O-157、腸炎ビブリオ、ウェルシュ菌など]

生体外毒素型

食品中で細菌が繁殖して毒素を産生し、その食品を摂取することによって毒素による中毒を起こす。[黄色ブドウ球菌、ボツリヌス菌など]

主な中毒原因菌

サルモネラ

汚染源として、ブタ、トリ、ウシなどの食肉、乳製品、卵などを生や過熱不足のまま食べた場合に食中毒が起きやすく、特に、鶏卵によるものが多発しています。

日本では魚介類が原因の腸炎ビブリオの食中毒が圧倒的に多かったのですが、食生活の欧米化により、現在最も多いのがこの菌による食中毒です。

この菌は寒さや乾燥に強い性質を持っています。中毒症状は、半日から2日後に吐き気やけいれん性の腹痛が起こり、このあと下痢、38℃前後の発熱、嘔吐などが生じます。

腸炎ビブリオ

この菌は海水に生息し、海水温が高くなる6月から9月にかけての魚介類の体表、内臓、エラ等に付着しています。

熱に弱く、塩水を好みますが、真水にはきわめて弱く、水道水などで洗うだけで容易に殺菌できます。中毒症状は、10~24時間後に急激な腹痛、下痢、嘔吐、発熱などが起こります。

黄色ブドウ球菌

この菌は健康な人の皮膚や鼻腔から20~30%検出されるほど自然界に存在していますが、食中毒は、汚染された食物中でこの菌が作り出す毒素(エンテロトキシン)が腸管で吸収されたときに生じます。

汚染源はおにぎり、弁当、おはぎ、ケーキ類など様々ですが殆どの場合、調理者の手指からです。特に、手指に傷や湿疹があったり、化膿している場合は食物を汚染する確率が高くなります。中毒症状は、2~4時間後に激しい吐き気、嘔吐、下痢、腹痛が起こります。

カンピロパウダー

家畜、ペット類は腸管内に保菌し、糞便などから検出され、これらのし尿に汚染された井戸水なども感染の原因となります。バーベキューなどの肉料理での感染例も多く、熱や乾燥に弱く、低温には強い性質を持っています。

ボツリヌス菌

極めて強い神経毒を有し、発症するとめまいや頭痛、視力低下、筋肉の麻痺による呼吸不全など症状は重く、死亡例もあります。空気を嫌い、酸素の無いところでよく繁殖します。注意する汚染源は、いずし、自家加工した海産物、真空パックされた魚のくん製品や酢漬け等です。しかし、この毒素は熱に破壊されやすく、 80℃・30分、100℃・10分の煮沸によって完全に無毒化します。

病原性大腸菌

大腸菌には様々な種類がありますが、腸管出血性大腸菌「0-157」についてふれます。0-157は一般の大腸菌とは異なり、ベロ毒素という強力な毒素を出すという性質を持っています。この毒素は直接大腸の組織を破壊し出血させるため、下痢便に真っ赤な鮮血が混ざってくるのが特徴です。また、潜伏期間が3~10日と幅があることが原因をはっきりさせない要因になっています。

◎     O-157の症例(6才女子)

1日目腹痛、39℃の発熱

2日目激しい腹痛、嘔吐、夜血便

3日目受診国立病院へ転送

5日目むくみ

6日目脳障害及び閉尿状態、意識不明

8日目早朝死亡

予防

  • 夏場はなまものをなるべく避け、食べる時は出来るだけ早く調理する。
  • 食材は常に新鮮な物を選び、低温(4℃以下)で保存する。
  • 手指に傷のある時は、食べ物が直接傷に触れないようにする。
  • 食べる前にはよく加熱し、調理後すばやく食べる。
  • まな板やふきんはよく洗い、熱湯や漂白剤で殺菌し、よく乾燥させておく。
  • 帰宅時、調理前、食事前、用便後には十分な手洗いをする。
  • 冷蔵庫を過信しないこと。温度管理とともに定期的な掃除も大切になります。

食中毒の症状が現れた場合、まず家庭で注意することは「水分補給」です。下痢や嘔吐、発熱が原因で「脱水症状」に陥りやすくなるため、適当な塩分、糖分を含 むもの(梅干し入りの番茶、スポーツドリンクなど)を飲むようにします。また、勝手に判断して、下痢止めを服用し、かえって細菌や毒素が腸内に滞り、症状 が悪化する場合もあります。疑わしい症状が見られたら軽く考えず、必ず医療機関を受診することが大切です。