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結核

結核は過去の病気というイメージがありましたが、最近では再び増加傾向にあり油断できない状況となっています。発見が遅れ、その間に多くの人に感染させてしまうこともあります。結核は約50年前までは、日本人の死亡原因の第1位でしたが、治療法の進歩により患者さんの数は減り続けていました。しかし、結核患者数は、平成9年には38年ぶりに前年を上回り、平成10年にはさらに1300人増えておよそ44000人となっています。

 

世界中には約800万人の患者さんがおり、先進国の中では日本が最も罹患率が高く、他の先進諸国に比べておよそ3~5倍です。かつては若い人に多かった結核ですが、平成10年の年代別の患者数では50才以上が70%を占め、中でも70才以上が36%と、中高年齢の方が増えていま す。また、結核に対する認識不足から、受診が遅れて重症化したり、学校や職場、医療機関などにおいて集団発生するケースも見られます。

結核の感染・症状

結核は、結核菌に感染することによって起こります。患者さんが咳をした時、結核菌を含んだ痰のしぶき(飛沫)が飛び散り、

それを吸い込むことで感染します(飛沫感染)。

食べ物を介して感染することは、まずありません。主に肺に病巣が出来ますが、まれに腎臓、骨髄、脳など肺以外の臓器に感染することもあります。

結 核菌に感染しても、必ずしも発病するとは限らず、その人の体の抵抗力が充分であれば 、免疫の働きで結核菌の増殖を抑えることが出来ます。しかし、結核菌は死滅したわけではなく、「冬眠状態」となって何十年も体内で生き続け、病気や加齢によって免疫力が低下した時に再び増殖を始め、結核の発病が起こります。

特に、高齢者、糖尿病や胃潰瘍などの病気のある人、抗がん剤やステロイド薬などの服用で免疫力が抑えられている人などは結核を発病しやすい(ハイリスク・グループ)ので、注意が必要です。

結核を発病すると「咳、痰、発熱(37~37.5℃くらい)、体がだるく疲れやすい」などの初期症状が現れ、風邪の症状とよく似ています。また、喫煙者では「たばこの吸いすぎ」と軽視しがちです。この様な症状が2週間以上続く場合、受診して検査を受ける必要があります。さらに症状が進むと「痰に血が混じる」「胸が痛い」「体重が減る」などの症状も現れます。

結核の検査

まず胸部の「エックス線検査」を行い、肺の様子を調べます。

次に「痰の検査」を行い、結核菌の有無を調べます。結核菌に感染したかどうかを調べる「ツベルクリン反応検査」では、反応が陰性の場合は結核の予防のためにBCGの接種が行われます。

このほか、病気の進行や炎症の状態を調べるため、

血液検査が行われることもあります。

結核の治療

治療薬には、炎症によって放出されるヒスタミンにより起こる鼻水や鼻づまり、くしゃみなどを抑制する抗ヒスタミン剤、解熱鎮痛剤、鎮咳剤、去痰剤などが使われます。

抗生物質を使うこともあります。細菌感染を合併することが少なくないからです。咳がひどくなったり、痰が黄色や緑色になった時は、細菌感染の合併が疑われます。

予防と早期発見

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規則正しい生活をする。

 

咳や微熱などの症状が長く続いたら、早めに受診する。

 

1年に1度は定期検診を受ける。

 

必要があればBCG接種を受ける。

 

化学予防を受ける。(結核菌に感染したことがわかったとき、発病する前に抗結核薬を半年間服用し発病のリスクを減らす)

 

周囲に結核の患者さんがでたときは、検診を受ける。

結核は、もはや「不治の病」ではなくなりました。抗結核薬の服用で殆どの人が治ります。しかし、決して「過去の病気」ではありません。今でも多くの人が発病しています。「長引く咳は赤信号」と言われています。咳に限らず、痰や微熱が2週間以上続く時は早めに受診することが大切です。