胃・十二指腸潰瘍
情報の洪水、物事の変化のテンポの速さ、管理社会で複雑化する人間関係。現代の生活はさまざまなストレスであふれています。
「胃・十二指腸潰瘍」は、まさにストレス病の代表と
言えます。
食事をすると、健康であれば、私たちの胃液は食べ物だけを溶かして消化します。決して、自らの胃を溶かすことはありません。これは、胃や十二指腸の表面が粘膜に被われ、保護されているからです。ところが、ストレスがたまると、この粘膜内に流れている血液の量が減ってしまい、粘膜の保護力は弱まってしまいます。さらに、ストレスによって、自分の胃壁や、十二指腸壁を消化してしまうということになってしまいます。これが『潰瘍』です。
主な症状
食事をすると、痛みは和らぎます。これは、食物によって胃液が中和され、胃壁が保護されるからです。
牛乳1本でも、胃壁に皮膜が出来て、痛みは治ります。
ところが、夜間や空腹時は、胃の中は空っぽなので、直接胃液が潰瘍の傷口を刺激するのです。また、夕方から夜半過ぎにかけて、
胃液の分泌は高まります。これも夜間に痛む原因の1つです。
■ 空腹時や夜間のみぞおち周辺の痛み
■ 胃もたれ
■ 貧血や吐血、下血
消化が、スムーズに行われないので、食物がいつまでも胃に残っている感じがします。
これは、潰瘍からの出血によるものですが、一般に十二指腸の壁が薄く、潰瘍がすぐ血管のあるところまで達してしまうためです。
治療
治療の基本は、心身を安静に保つこと、それに食事療法と薬物療法です。
■ 食事
■ 薬
なるべく刺激の少ない消化の良いものを、少しずつ数回に分けて食べます。痛みが強い時には流動食にし、吐血や下血のある時は飲食を断ち、場合によっては入院治療が必要になります。
薬には大きく分けて2種類あります。
[1] 胃液の分泌を抑えるもの
[2] 胃壁や十二指腸壁を被っている粘膜を保護するもの
最近は、特効薬と言ってもいいほどの良い薬が開発され、ほとんどは手術をせずに、通院で治療できるようになりました。
しかし、痛みが止まったからといって、勝手に薬を飲むのをやめたり、また市販薬で症状がおさまることもあり、それで治ったと思っていると再発することがあります。薬は医師の指示に従ってきちんと服用することが大切です。
再発の予防
一 般的に、ストレスと言うと悪い状態を連想しますが、ストレスは「人生のスパイス」とも言われます。仕事やスポーツなどで最大限の実力を発揮するには、適度 なストレスが必要です。全くストレスの無い状態では、緊張感が無く、やる気も起こりません。ストレスと上手に付合うことが大切ではないでしょうか。
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