パーキンソン病

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パーキンソン病

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神経系の傷害によって様々な運動障害が現れるパーキンソン病。高齢者に多い病気で、アルツハイマー型痴呆と並んで脳神経系の病気で最も多く見られます。大脳の「線条体」というところで、体の運動の機能を司り、「ドーパミン」と「アセチルコリン」という神経伝達物質がバランス良く働いて、筋肉に指令を出しています。

薬物療法で効果のない人には、脳外科的手術を行うこともありますが、治療の基本は薬物療法です。

治療

症状

「左手、左足に起こり、次に右手、右足にも起こる」というように、必ず片側から始まってもう一方の側に広がります。唇にふるえが起こることもあります。安静時や意識していない時に現れやすく、精神的に興奮したり、緊張するとよけいにふるえがひどくなります。手足のふるえは、丸薬を丸めるように、親指とほかの指をすり合わせるものです。

ドー パミンは、脳の中心にある「黒質」と呼ばれる部分で分泌され、線条体に送られます。ところが、何らかの原因で黒質が変性してドーパミンの分泌が減少する と、線状体にドーパミンが十分に送られなくなります。相対的にアセルチルコリンが多くなり、両方のバランスが崩れ、神経伝達が上手くいかず、運動障害が起 こります。これが「パーキンソン病」です。なぜ黒質が変性するのかは不明です。50~60才代に発病することが多く、男女差は殆どありません。症状はゆっ くりと進行します。日本では、約1000人に1人の割合で発病し、難病に指定されています。長寿国の日本では、70~80才代の患者さんが多いのが特徴で す。

■ 手足のふるえ(振戦)

抗 精神病薬、胃の薬などの副作用や他の病気が原因で、パーキンソン病に似た症状が起こることがあります。その場合、他の薬に変更したり、変更できない時は薬 の量を減らしたり、服用期間を短くするなどが考えられますが、症状が重い場合や自然回復が遅い場合には、他の病気の治療と共にパーキンソン病治療薬を用い ることがあります。

筋肉が硬くなって、関節の曲げ伸ばしがスムーズにいかなくなります。

■ 筋肉のこわばり(筋固縮)

筋肉のこわばりの影響で、表情に変化がなくなります。歩き始めの一歩がでない

(すくみ足)など、動作の開始に時間がかかり、動作全体も遅くなります。

■ 表情の乏しさ、動作緩慢(無動)

体のバランスが悪くなり、転びやすくなります。前かがみになり、すり足で小刻みに歩くようになります(小股歩行)。

■ 前傾姿勢、歩行障害(姿勢反射障害)

便秘、立ちくらみ、排尿障害などの自律神経症状や抑うつ、不安などの精神障害が起こることもあります。

■ その他の症状

ドーパミンを補う薬で、薬物療法の中心です。手足のふるえや筋肉のこわばりに大変有効です。しかし長く服用していると、薬が効きにくくなることがあります。良い時と悪い時を繰り返したり、薬を飲んだ時だけ効いてしばらくすると症状が悪くなったりします。このような時は他の薬を併用したり、飲み方を調節したりします。

■ L-ドーパ製剤

大脳の線条体には、ドーパミンを受ける受容体があり、その働きを高めます。

■ ドーパミン受容体刺激薬

黒質の神経細胞を刺激し、ドーパミンの分泌を促します。

■ ドーパミン放出促進薬

ノルアドレナリンという神経伝達物質も不足することがあるので、それを補います。特に、「すくみ足」の改善に効果があります。

■ ノルアドレナリン補充薬

ドーパミンの不足で相対的に多くなったアセチルコリンの産生を抑え、ドーパミンとアセチルコリンのバランスの崩れを修正します。ふるえや筋肉のこわばりに効果があります。

■ 抗コリン薬

胃腸障害、食欲不振、吐き気、動悸、不随意運動(無意識に舌を出す、肩を上げるなど)、幻覚や妄想、不眠などが起こることがあります。副作用があれば、すぐに医師に伝えてください。また、勝手に薬の量を減らしたり、急に服用を中止すると、症状が悪化することがありますので、必ず医師の指示に従うようにして下さい。他の薬と相互に作用して、効果が落ちたり、他の薬の作用が強まることもあります。服用している薬は全て医師や薬剤師に伝えることが大切です。

日常の注意

眠ると脳の線条体の働きが悪くなります。日中は出来るだけ活動的に過ごすようにします。

■ 昼寝をしない

■ 毎日散歩をする

■ 過労、睡眠不足は禁物

■ 酢の物、食物繊維の多いものを摂る

パーキンソン病の治療薬には、水に溶けにくく、酸に溶けるものが多いのですが、高齢になると胃酸の分泌が減少しますので、酢の物などで酸を補うようにします。また、便秘予防のため、食物繊維を多く摂るようにします。

パーキンソン病は長い経過をたどる病気ですが、最近では、薬で症状をコントロールし、症状の改善もかなり期待できるようになりました。家族や周囲の人たちの援助や励ましと共に、毎日を意欲的に過ごすよう心がけることが大切です。