おくすりQ&A

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OKUSURI Q&A

 

薬は光や温度、湿度に大変影響を受けます。保存状態が悪いと変化を受けやすく、効果の上にも悪影響を与えます。特に、梅雨時や夏場など高温多湿時の薬の保管には十分な注意が必要です。薬の効果を十分に発揮させ、かつ安全に服用するためには、薬に適した保管をすることが大切です。次に示す主な薬の保存上における注意事項を守りましょう。

[1] 散剤、錠剤、カプセル

特別の指示のない場合、原則として低湿度で高温にならないような場所、例えば缶の中や引き出しの中など涼しいところに保管して下さい。

[2] 水ぐすり

冷蔵庫に保管して下さい。水薬のカップ、水薬のビンの口などは細菌汚染を受けやすいので清潔に保ちましょう。また水薬は水などで薄めていますので、長期保存すると腐敗する恐れがあります。処方日数が過ぎ、1週間以上たった薬は服用しないようにして下さい。ただし、原液(水などで希釈していないもの)の薬は処方された日数まで保存可能です。不安を抱いた場合は薬を出してもらったところに確認してから服用しましょう。

[3] 外用薬

内服薬と同じ場所でかまいません。しかし、坐薬は薬自体が体温で溶けるように作ってありますので冷蔵庫に入れるか、なるべく涼しい場所に保管して下さい。また、使用中の点眼薬は細菌に汚染されやすいので、開封後はきちんとふたを閉め、2週間をめどにお使い下さい。 最近の外用薬は有効期限が記載されているものが多くなってきていますのでそちらも参考にするとよいでしょう。

" 薬の上手な保管方法について教えて下さい。"

胃腸薬と称し、数多くの薬が市販されています。 胃の薬も腸の薬も同じようなものと考えている方も多いようですが、どちらにも効くというわけではありません。 胃が不調を訴える場合は、大きく分けて2つあります。まず、胃酸の分泌が多すぎて胃壁が荒らされ、胃炎や胃潰瘍を起こすか、起こしつつあるケース、もう1つは、胃酸の分泌が少ないか、あるいは胃の働きが弱く、もたれや消化不良を起こしやすいケースです。前者には、胃酸を中和する「制酸薬」、胃酸の分泌を抑制する薬、胃粘膜を保護する薬などが用いられ、後者には胃の働きを活発にする「健胃薬」、消化酵素によって消化を助ける「消化薬」などが用いられます。これ を逆に用いると、かえって症状を悪化させる恐れがあります。例えば胃に炎症や潰瘍があるのに、消化促進剤を飲んでしまい、かえって悪化させてしまう場合な どがあります。最近では医療用のものと同じ成分を含み、強力に胃酸の分泌を抑える薬も市販されていますが服用には充分な注意が必要です。 一方、腸の薬としては、「整腸剤」、「下痢止め」、「下剤」などがあります。整腸剤を消化薬と混同して食べ過ぎの時などに飲まれる方は案外いらっしゃるのではないでしょうか。またO-157などの食中毒による下痢に対しては、下痢止めの服用により症状の悪化を招くことがあります。 このように、胃腸薬と称されていても薬によってそれぞれ使用目的が異なりますので、薬をお求めになるときには症状を薬剤師等にご相談下さい。また、症状が長引くようでしたら専門医を受診されることをおすすめします。

" 市販の胃腸薬を買うときには、どんな点に注意すればよいでしょうか ? "

高齢になると、目や耳が老化して見えにくくなったり、聞こえにくくなります。また、様々な病気を併発して多くの病院や診療科にかかり、処方される薬も多くな ります。今飲んでいる薬に対する理解度が低下して、説明通りに飲めなかったり、錠剤やカプセルの包装を破れなくなったり、誤って包装のまま飲んで食道にひっかかり、重大な結果を引き起こすこともあります。また、服用時は、薬がのどや食道にひっかかって潰瘍などの原因にならないように、十分な水(コップ一 杯程度)で飲むことも大切です。 お年寄りの状態を十分に把握して、薬を正しく服用できるように注意して下さい。複数の病院や診療所にかかっている時は、服用している薬を全部、医師や薬剤師に見せて指示に従うことが大切です。

" お年寄りに薬を飲ませてあげる時の注意点を教えて下さい。 "

お薬を服用して、尿や便の色調が通常と異なり不安を抱いた経験をお持ちの方がおられると思います。尿や便は服用した薬などによって色がつくことがあります。色調に影響を及ぼす主な薬剤の例を以下にあげてみます。

" 薬の服用により、尿や便の色が変わることがありますか ? "

たとえば、高血圧や糖尿病の薬は、アルコールで効き目が強くなります。血圧を下げる薬の場合には、血圧が下がりすぎてふらふらしたり、吐き気がしたりします。 血糖を下げる薬は、血糖値が下がりすぎてショックをおこしたり、昏睡状態になったりする恐れもあります。 同じように、とても危険なのが、精神安定剤や睡眠薬です。アルコールとこれらの薬を併用すると思わぬ強さで脳の働きを抑制し、呼吸困難になったりします。 どのような薬でも、薬を飲んでいる時はアルコールは口にしないのが一番良いのですが、量は二日酔いする程度飲まないで控えめにして、薬を飲む前後2時間くらいはお酒を飲まないようにすると良いでしょう。

" 仕事上、酒席から遠ざかることが出来ません。 薬を飲んでいるときは、お酒はどの程度控えれば良いでしょうか ?"

「ワルファリンカリウム錠」(商品名ワーファリン)という薬を服用している間は納豆を控えなくてはいけません。この薬は心筋梗塞や脳塞栓症等の血栓塞栓疾患の治療に用いられる薬で、血液が固まるのを防ぐ効果があります。 一方、「納豆」を食べると腸内で納豆菌によって「ビタミンK」が作られます。健康な人には結構なことなのですが、このビタミンKには血液が固まるのを高める 作用があるので、血液が固まるのを防ぐ薬を服用している人にとっては、相反することになって薬の効きめが減少します。慎重に使用しなければいけない薬ですのでこの薬を服用している間は「納豆」を控えなくてはいけません。また、納豆以外にもクロレラ食品やブロッコリーなどにはビタミンKが多く含まれていますのでこの薬を服用中は控えて下さい。

" 「この薬を服用中は、納豆を食べないように」と言われました。何故ですか ? "

色 調

薬 剤

赤 色

セフジニル(抗生物質)

赤 色

リファンピシン(抗結核剤) 

黄 色

リボフラビン(ビタミンB2)

 

 

尿

白 色

バリウム(レントゲン検査時)

白 色

水酸化アルミニウム(制酸剤)

黒 色

鉄 剤

 

 

便

橙 色 ~ 赤 色

リファンピシン(抗結核剤)

黄 色 ~ 褐 色

センナ(下剤)

こ れらの色調変化の原因は服用した薬剤そのものの色であったり、薬剤が体内で代謝され変化するために起こることがあります。このような変化は一時的なものな ので、ほとんどの薬剤は服用をやめた時点から正常に戻ります。表以外にも尿、便を変色させる薬剤はたくさんありますので、ご心配な時は薬剤師にお尋ね下さ い。なお、正常な尿の色はビールのような黄褐色または淡色を呈するのが普通です。しかし、水分のとり方の少ない時や汗をかいた時は、尿量も減り色も濃くな りますし、逆に水をたくさん飲めば尿は薄められ色も薄くなります。正常な便の色は黄褐色から暗褐色ですが、肉食が多ければ黒褐色に、植物性の食物が多けれ ば黄色に、葉緑素や鉄分を含んだものを食べれば緑黒色になります。

幼児の場合は、だまして飲ませたり、無理矢理口をこじ開けて飲ませたりせず、良く言い聞かせて納得させる事が大事です。 薬によって可能な場合はジュースやヨーグルト、アイスクリームなど子供が好きなものに混ぜて与えることも良いでしょう。 混ぜた薬を全部与えるために、少量に混ぜるのがコツです。作りおきはしないようにして下さい。 乳児の場合は、少量の水やぬるま湯で練り、口中の上あごに塗りつけてからミルクを与えましょう。 または、一回分を溶かし、スプーンやスポイトを使って、少しずつ口の中に流し込むのも良い方法です。 ミルクの中に入れるのは、ミルク嫌いの原因になったり、飲み残して必要量が飲めないことがあるので避けるべきです。

" 子供が嫌いな粉薬を飲ませる方法を教えて下さい。"

薬の中には、甘味や苦味が分からなくな る「味覚障害」を起こすものがあります。舌の表面の粘膜には無数の突起があり、その中に「みらい」という器官があります。この「みらい」が、味の物質を感 知し、その刺激が味覚神経を介して味を感じます。「みらい」には亜鉛が含まれ、味の刺激を脳に伝えるのに大切な役割をしています。薬の中には、体内で亜鉛 と結合し、亜鉛を体外に排出してしまうものもあり、そのため、亜鉛不足による味覚障害を招くことがあります。 また、味覚障害の原因には、薬の他 に、ダイエットなどによる亜鉛摂取不足、心因性によるもの、風邪の後に起こるもの、糖尿病、肝炎、貧血などの全身性の病気によるものなどがあります。治療 には、一時薬の服用を中止したり、亜鉛を補給したりしますが、病気の治療に非常に大切な薬であることもありますので、味覚障害だと感じても、勝手に薬の服 用を中止せず、医師や薬剤師に相談して下さい。

"  何を食べても味がしません。薬のせいでしょうか ? "

薬には、何がしかの副作用がありますが、全ての人に一様に発現するわけではありません。体調によっても違いますし、副作用の症状もさまざまです。薬の副作用を大きく3つのパターンに分けてみました。

  1. 1日に飲む薬の量が多すぎて出る副作用。例えば、下剤を飲み過ぎて下痢をした、睡眠薬を飲み過ぎて昼まで眠気が残り身体がだるいという場合です。副作用というより「効き過ぎ」であり、薬の量を減らせば副作用は自然に消えます。
  2. 鼻炎やじんま疹の治療薬を飲んで「眠く」なったり、胃痛で処方された薬を飲むと「喉が乾く、便秘する」といった場合です。これは、薬の本来持っている作用の一部でやむを得ない副作用です。しかし、その作用が強いときには、医師に申し出ると良いでしょう。副作用の少ない薬に変更できることもあります。
  3. 事前に予測しがたく「なぜ出るか」もわかっていない場合が多く、副作用のほとんどがこれにあたります。いわゆるアレルギーといわれるものもこれに当てはまるでしょう。

薬を服用して副作用が出る人はさほど多くありませんが、予測できないものが多いため、医師も薬剤師も「あなたは絶対大丈夫。副作用は出ないでしょう。」とは言い切れないのです。 とかく気になる「副作用」ですが、心配のあまり絶対服用しなければいけない薬を飲まなかったり、自己判断で減量したりすると、治る病気も治らなくなります。まず、医師の指示通り服用して、「副作用かな?」と思われる症状が出たときは、一時服用を中止して医師、薬剤師に相談することが大切です。

" 薬の副作用が心配です。予測できますか?"

同じような作用の薬を数種類飲めば強力な作用が出ますし、逆の作用の薬を飲めば効果は現れにくくなります。また、一つ一つでは出ない作用(副作用)でも、一度に数種類の薬を飲むことによって出る作用(副作用)があります。このような作用を相互作用といいます。

 

恐ろしいのは、2種類の薬を飲めばその効果が1+1=2だと思っているのに3にも4にもなることがあり、薬の効果以外に作用が現れる危険性が高まることで す。また、せっかく薬をいろいろ飲んでいるのに薬同士が効果を打ち消して効果が出ないというのも困ります。例えば、ある種の抗アレルギー剤と抗真菌剤、睡眠導入剤を一緒に飲むと、普段は現れない副作用が現れたり、ある種の抗生物質と鎮静剤を一緒に飲むとけいれんを起こす可能性があるので慎重に飲まなければいけないという事例があります。

 

このように薬を何種類も飲む時は、副作用を防止するためにも他の病院、診療科でもらっている薬を診察の際に医師に見せることが非常に大事なこととなります。

 

「血圧の薬、胃腸薬を飲んでいます。」と言うだけではなく、薬の実物か、薬品名を書いたメモ、お薬手帳を持参して相談して下さい。

"  薬の相互作用について "