甲状腺疾患

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甲状腺疾患

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甲 状腺は、首の前側の軟骨の下にあります。甲状腺はヨードを原料にして2種類のホルモンを合成しています。甲状腺ホルモンは、脳下垂体から出る甲状腺を刺激 するホルモン(=TSH)によって甲状腺から分泌され、新陳代謝を活発にしたり心臓や脳、骨を発育させたり、体温を調節する働きをします。

今回は、甲状腺の病気である「バセドウ病」と「橋本病」にスポットを当ててみました。現在、日本にはバセドウ病の患者さんが50万人以上に対して、橋本病の患者さんは、甲状腺の病気の中で最も多く、100万人以上いると考えられています。

血液の中に、自分の甲状腺に対する「自己抗体」が出来て、その抗体が甲状腺を刺激するために起こる、自己免疫の異常が原因の病気(=自己免疫疾患)です。

抗体の刺激をTSHの刺激と同じように受け止めるために、必要以上に甲状腺ホルモンが分泌されます。その結果、心臓をはじめ、体内のあらゆる所で新陳代謝が活発になりすぎて、様々な症状が出てきます。

 

甲状腺機能亢進症の代表的な病気です。家族に発病することもありますので、家族にバセドウ病がある場合は注意が必要です。

 

症状

  甲状腺(のど)が腫れる

  手指のふるえ

  全身の痒み

  全身の倦怠感、疲労感

  不整脈

  足のむくみ

  動悸や息切れ

   脈が速くなり、100回/分以上になることもある

  体温上昇

  多汗

  多飲

  いくら食べてもやせる

  下痢

  月経不順

  流産

  情緒不安定

バセドウ病のイメージである眼球の突出は実際には少なく、

目つきがするどくなり、皮膚は黒ずみ、顔つきがきつくなる。

治療

治療には、次の3つの方法があり、病気の程度や年齢などによって治療法が

選ばれます。

    (1)   甲状腺ホルモンの合成を抑える薬物療法

    (2)   放射線ヨードを服用するアイソトープ療法

    (3)   甲状腺を部分的に切除する手術

日常生活では、心身ともに平静を保ち、激しい運動は避けて心臓に負担をかけないようにします。栄養価の高いバランスのとれた食事を摂り、昆布などのヨード含有量の多い食品の多食は避けるようにします。

慢性甲状腺炎とも言われ、血液の中に自分の甲状腺に対する自己抗体が出来て、抗原抗体反応が甲状腺で起こる、バセドウ病同様、自己免疫疾患です。自己免疫の異常によって甲状腺の組織が障害を受けると、甲状腺ホルモンの産生が低下してしまいます。すると、脳下垂体からTSHが分泌されるため、甲状腺(のど)が 腫れてきます。さらに進むと、甲状腺を刺激するホルモンの分泌は弱まり、甲状腺の機能は低下していきます。

症状

病気の初期には、のど(甲状腺)の腫れや症状はほとんどありません。自己抗体を持っている患者さんの約半数にのど(甲状腺)の腫れが見られ、10人に1人の割合で甲状腺の機能が低下しています。甲状腺機能の低下が

  不定愁訴

  無気力

  居眠り

■ 軽い場合

  言葉のもつれなどの更年期障害やうつ病のような症状

■ 著しい場合

  顔のむくみ

  声がしわがれる

  頭髪の脱毛

  髪のつやがなくなる

  食欲低下

  皮膚が乾燥する

  手足の冷え

  便秘

  肝機能障害

  除脈

  肩こり

  こむら返り

症状

甲状腺機能が正常な場合は治療の必要はありませんが半年~1年に1回は検査を受けた方が安心です。機能低下による症状がある場合や、症状がなくてものどの腫れが大きい場合は、甲状腺ホルモンを内服します。

橋本病では、多量のヨードの摂取は、甲状腺の機能を抑制する可能性がありますので、コンブなどのヨード含有量の多い食品の多食は、控えるべきとされています。北海道は、四方が海に囲まれているため、海草類を多食する傾向があるとされています。

バ セドウ病は20~30代の女性に多く、橋本病は30~50代の女性に多く見られます。どちらの病気も、甲状腺機能が正常になれば日常生活に全く支障はあり ません。妊娠した場合、服薬していても胎児に影響はありませんが、産後症状が悪化することがありますので医師の指示に従うようにして下さい。一般の出産で も20人に1人の割合で一時的に甲状腺機能亢進症になったり、機能低下症になったりします。

人によっては、症状がはっきりと現れない場合もあります。甲状腺の機能亢進、機能低下のまま放置すると、心臓や他の臓器に難治性の合併症が起こることがあります。諸症状が少しでも感じられた時は、早めに受診して、適切な診断と治療を受けることが大切です。