女性ならば、誰もが通過しなければならならい更年期。
この時期、月経異常やほてり、情緒不安定など様々な症状に人知れず悩む場合が少なくありません。

排卵や月経という女性の生理は、卵巣から分泌される女性ホルモンの作用によって成り立っています。個人差はありますが、40才を過ぎると卵巣の機能は徐々に衰え、50才頃閉経します。閉経後の約10年間を「更年期」と言います。更年期に入ると、女性ホルモンの分泌量が減少し、性周期のホルモンのバランスが乱れ、心身両面に様々な症状が現れます。これを「更年期障害」と言います。
更年期障害の程度は人によって異なり、症状の重い人もいれば、殆ど何も感じない人もいます。また、年齢によって現れる症状が異なります。

 原 因

月経異常
更年期の初期、衰えた卵巣の機能を元に戻そうと、卵巣を刺激するホルモンの量が増えて月経周期は短くなります。が、その後周期は乱れ、間隔が長くなり、閉経します。
自律神経失調症状
内 臓や血管などの活動を調節している自律神経の調節が乱れて起こる症状を言います。更年期にホルモンのバランスが崩れると、自律神経も乱れることがあり、 「不定愁訴」と言われる様々な不快な症状が現れます。代表的なものに「ホットフラッシュ」と呼ばれる顔のほてりがあります。突然、首から上の部分がカーッ と熱くなり、数分から10分くらいで治まります。その他に、手足の冷えやしびれ、肩こり、発汗、頻脈、動悸などがあります。
精神神経症状
頭痛、頭重、不眠、憂うつ、イライラ、めまい、耳鳴りなどがあります。女性ホルモンの分泌低下に加えて、家庭での悩みや環境の変化、老化などへの不安など、心理的、社会的なことが原因であることが少なくありません。
皮膚などの症状
女 性ホルモンの1つであるエストロゲン(卵胞ホルモン)には、粘膜や皮膚を健全に保つ働きがあります。エストロゲンが不足すると、膣や尿道の粘膜が萎縮した り、弾力性が無くなります。膣が萎縮すると細菌に感染しやすくなり、膣炎、尿道炎、膀胱炎が起こり、弾力性が無くなることで、性交痛、頻尿、尿失禁などが 起こります。
全身の皮膚も老化し、肌が乾燥したり、蟻が皮膚の上を這うような感じがするなどの知覚異常が起こることもあります。
心臓血管系疾患・骨粗鬆症
エストロゲンには、コレステロール値や血圧の上昇を抑えたり、骨の生成を促す作用があります。そのため更年期の後半では、動脈硬化が進行しやすくなり、狭心症や心筋梗塞などの虚血性疾患にかかりやすくなったり、骨粗鬆症を起こし、骨折しやすくなります。
肥満
女性ホルモンには脂肪分解作用があるため、更年期に入ると脂肪が蓄積されやすくなります。

 治 療

ホルモン補充療法(HRT)
減っ ていく女性ホルモンを補い、症状を和らげます。内服薬や注射、皮膚に貼るパッチ剤があります。様々な更年期症状によく効き、骨粗鬆症や心臓血管系疾患の予 防にも効果があります。しかし、体重増加やむくみ、内服薬ではその他に肝機能や胃腸の障害などの副作用が出ることがあります。
また、5年以上HRTを行うと、乳癌になる危険性が高まると言われているので、定期的な検診が必要です。
次のような場合、HRTが行えないか、または、行う時注意が必要です。

   ・乳癌の手術を受けた人
    ・重い肝臓障害のある人
    ・重い精神神経症状のある人
    ・子宮内膜症や子宮体癌にかかっている人

抗うつ薬、精神安定薬の使用
骨粗鬆症にはカルシウム剤やビタミンD剤の使用
漢方治療―漢方薬は即効性はありませんが、穏やかな効き目があります。
 日常生活の注意

[1]
更年期に入ると成人病になりやすくなるので、
定期的に健康診断を受ける

[2]
1日3食、バランスの良い食事を摂る
[3]
散歩程度でも良いから適度な運動を続ける
[4]
睡眠を十分にとる
[5]
仲間とのコミュニケーションをとり、
気持を外に向けて、気分転換をする

更年期は、女性が生殖の役割から開放される、新たな人生の出発点です。体のなかではいろいろなことが起こり、時に辛い症状として現れます。更年期障害と思って我慢していると別の病気が原因であることもあります。
健やかに、はつらつとした日々を送るためにも体の不調を感じた時は、早めに受診されることをお勧めします。





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